年末にとても、とても素敵なセルパブ本を読むことができました。
1時間足らずでさらっと読み切れるボリュームでありながら、骨髄ドナーになるとどんな流れで何が行われるのかがわかり、その間の心の揺れ動きも垣間見ることができ、最終的には著者の西村さんのファンになるとともに、「私も骨髄ドナー登録をしてみよう」という気持ちになります。
「1時間足らずでさらっと読み切れるボリューム」と書きましたが、セルフパブリッシング(KDP)本にとってはこれが最大のハードルではないかと思います。
ちょっとした誤植や、商業誌とまったく異なる文字づかい、「~である」文と「~です」文のバランスなど、「さらっと読む」を阻むものが非常に多いから。
細かいところで「読む」行為がつまずく回数がある程度のところまで達すると、「もういいや」と途中離脱してしまうものです。あくまで「私は」の話ですが。
本書は第一にとにかく読みやすい。これってとんでもなくすごいことだと思います。
著者の西村さんが、最初に気軽にドナー登録をするところから、家族の同意を得ることの重さ、難しさに直面したり、患者さんにとってはまったく気軽な処置ではないことを実感したり。
骨髄ドナーとして決定したときから、いかに自分が万全の状態でなければならないかを気遣いながら生活している描写を拝読して、私自身がいかに「骨髄ドナー登録」を簡単に考えていたかを突きつけられました。
最後に患者さんからのお手紙に接したとき、ご家族と「よかったね」とだけ言葉を交わすシーンはこころに迫るものがありました。
恥ずかしながら、私は献血も骨髄ドナー登録もしていません。
さらに恥ずかしいことを書けば、「痛いから」「怖いから」という理由で遠ざけていました。
ところが出産してからというもの、命について考えることが格段に増えたのです。
無痛分娩とはいえそれなりに辛い陣痛を乗り越えてしまうと、痛いだなんて、命のかけがえのなさと比べ物にならない!
思い立ったらすぐ……といきたいところですが、献血もドナー登録も授乳中はできないようで、子どもが卒乳したところで、しっかり成長してくれた奇跡に感謝しながら、いずれも登録したいと思っています。
その決意の背中押しをしてくれるような本でした。
私もこういう本が書けるようになりたい。